文化と実益が影響を与えた白衣の歴史

看護師が着用する白衣の歴史は、中世のヨーロッパで修道女が病人の看病やケアを行った際に着用した白色のエプロンが起源とされます。
その後、世界大戦など看護師が活躍する場面が増えるにつれて、白衣の形はそれぞれの国で変化していきました。

例えば、韓国ではチマチョゴリ、インドではサリーに似た形のものができ、イスラム圏では髪の毛を覆うスカーフ風のナースキャップが採用されるなど、お国柄を反映した白衣があるようです。

さらに、実用を考えた白衣の進歩も見られ、イギリスやスコットランドでは国営の病院で長袖の白衣が禁止されました。これは、袖についた細菌による院内感染防止の取り組みによるものです。また、アメリカでも、手術着として使われてきたカラフルなスクラブが主流になりました。

白衣とセットで考えられてきたナースキャップは、やはり中世ヨーロッパで修道女が使っていたベールと関係があるとされています。ナースキャップは最近では見かけることが少なくなりましたが、これには理由があります。ナースキャップの本来の目的は、髪の毛をまとめて落ちないようにすることでしたが、これはナースキャップ以外の方法でも解決できます。
また、ナースキャップはノリで固めるため、そのノリに細菌がついて増殖する危険があります。さらに、ナースキャップが点滴やチューブなどに引っかかって危ないことや、看護師の髪の毛や頭皮に負担がかかり、頭痛や脱毛などの原因になることも廃止に追い込まれた理由のようです。